67年間、在日同胞社会を導いた‘在日本大韓民国民団’の現状と未来-- 呉公太団長インタビュー

THE FACTメディアJAPAN | 2013/06/25 13:46

 

[スポーツソウルジャパン|アン・ビョンチョル記者] 日本から解放した後、組織された在日本大韓民国民団(以下、民団)が今年で設立67年を迎えた。これまで民団は、在日同胞社会の中心になると同時に、日本社会に在日の声を伝える窓口の役割を遂行してきた。


半世紀以上の旺盛な活動で在日韓国人社会に活力を吹き入れた民団。最近では、在日本朝鮮人総連盟(朝総連)がその機能を失っていくことにつれ、日本社会での‘韓民族’統合に民団への期待がますます高まっている。

 

<スポーツソウルジャパン>は、東京麻布十番(麻布十番)にある在日本大韓民国民団を訪れ、呉公太(オ・ゴンテ)団長から、現在の民団の姿と今後の計画について聞いてみた。

 

オ・ゴンテ団長。日本に残った在日同胞の権利を守っていくのが民団の目的だと語った。|アン・ビョンチョル記者

 

- まず、民団について簡単に説明すれば?

民団は、韓国が解放を迎えた1945年以降、日本に残された同胞を祖国に送還する手続きを行うために作られた組織である。しかし、民団のその機能はだんだん薄まり、日本に残った在日同胞の権利をどのように守っていくかについて悩み、行動する組織として発展した。それが今、民団の精神であり、基盤になっている。民団の性格を理解できる良い例が指紋押捺の撤廃運動だ。解放後、日本に残った在日同胞は指紋捺印のような行政的差別を受けた。民団は、このような日本の行政差別の撤廃運動を展開し、長い戦いの末、指紋押捺などの反人権的な差別行為を日本から撤廃させることができた。

 

- 民団の運用に関連する呉団長の第1原則や方針などを言えば?

‘民団の力を一つにすれば不可能なことはない’というのが運営方針の第1原則である。

 

- 民団は今年で設立67年になる。現在、民団が抱えている課題の中で最も緊急な懸案は?

民団の歴史は67年だ。その間、在日同胞と一緒になって活発な活動を続けてきた。この意味ある時間と成果を次の世代に譲ることが今、民団の最大の課題だと思う。民団を継続していく次世代の育成こそ、民団の活動の中で最重要事業であり、最も重い責任が伴うことだと思う。

 

- 現在、次世代育成事業の現状は?

外部からは、現在の民団内部の高齢化について懸念している。確かに、民団で活動している人物の面々を見ると、若いとは言えない。しかし、希望がないわけではない。日本にはまだ多くの若い世代が存在し、その中には相当な数の二重国籍者もいる。その人々を民団が吸収できれば、民団の高齢化問題は解決可能だと思う。帰化者を含む二重国籍者も民団に参加できるよう組織を変えていくことが何よりも重要であり、そのような方向で進んでいきたい。

- 在日同胞の地方参政権獲得運動が長い間、推進されている。地方参政権が持つ意味、そして今後の展望について?

今、多くの先進国では、在住外国人に地方参政権が与えられており、外国人への地方参政権付与は世界的な潮流となりつつある。民団も日本人と同等の権利を在日同胞に付与することを要求している。人権的な面からみても、納税の義務を果たしている在日同胞が選挙権から排除されるのは、不当な処遇である。また、地方参政権の許容は、日本が国際社会から人権先進国として認めてもらうためにも象徴的な問題である。民団は、日本内での政治的な差別を撤廃することが最終目標であり、その最初の課題として地方参政権の許容をこれかも求めていく方針だ。

 

オ・ゴンテ団長は、民団を継続していく次世代の育成こそ、民団の活動の中で最重要事業であり、最も重い責任が伴うことだと述べた。|アン・ビョンチョル記者

 

- 在日同胞の地方参政権の今後の見通しは?

現在、非常に難しい実情であるのは確かだが、決してやめるつもりはない。民団の中央と地方の組織が一丸となって着実に進めていきたい。

 

- 日韓関係が最近悪化している。関係回復において、民団の役割があれば?

日韓の間には領土や歴史認識など多くの問題が存在するが、このような問題が最近になって急に起きたわけではない。これまでにも、この問題が原因になって両国の関係悪化に発展した。しかし両国の対立が繰り返される間に、日本で韓流が定着し、日本と韓国の旅行者の往来が500万人を越した。つまり以前とは違がって、両国関係に貢献できる良い基盤が形成されたわけだ。まだ解決できない大きな問題がこれまでと変わらず両国の葛藤になっているが、今は少し異なる視点からアプローチすべきだと思う。領土や歴史認識の問題を前面に掲げるより、韓国と日本が最も近い隣国であることを改めて認識するのが重要であると思う。

 

- 在日同胞社会は、既存の在日(在日、日本人が在日同胞を呼ぶ言葉)とニューカマー(60年代以降、新たに日本に移住し定着した在日同胞を呼ぶ言葉)に分けられるが、彼らの対立が最近見え始めた。お互いに融和することができる方法はないか?

融和できない理由はない。福岡県、愛知県、大阪府などでは、ニューカマーと在日との区別がほとんどない。問題は首都東京だ。東京で両方がこれまで良好な関係を維持していなかったのは事実。団長に就任して以来、それと関連する行政を積極的に進めているため、もうすぐで成果が出ると期待している。

 

- 韓国政府に対し求めることがあれば?

在日同胞の教育問題と関連して、サポートや政策推進などが必要だ。日本には現在、在日韓国人学校が4つしか存在しない。数が不足しているため、目指す方向が違う多様な人々の集まりという性格が強く、統合のための教育という意味では対応しきれない状況。同じ目的を目指しながらも多様性を生かせる学校に発展するためには、ある程度の学校数が必要であり、そのような面で政府の支援が欠かせない。また、学校の数が増えると、決して在日同胞社会の人口も減らないと思う。

 

- これから民団のビジョンと抱負があれば?

民団は在日同胞社会に必要な組織だと思う。特に日本のように、歴史的、政治的に多くの問題を抱える社会に多くの在外同胞が存在する地域は、世界のどこにもない。民団はそのような時代の要求を解決して進まなければならないという義務がある。これからも在日同胞が、または我々韓民族が日本での自由な、平等な生活環境を獲得する日まで一生懸命頑張っていきたい。

 

 

 

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